原稿用紙2枚分

はてなブログの文字カウンターで800字分。800文字で表現する練習をしています。

新幹線の思い出

夕方頃に上りののぞみに乗っていた。長い長い静岡、箱根の山を越えて、窓側のA席から神奈川の風景をぼんやり窓から見ていた。車窓と電源があるという理由で選んだ。

 

空のB席を挟み、通路側のC席に若い女性がいた。新横浜に近づく頃にそうだとわかった。その人が小さい声で「息が苦しく、席を替わってほしい」という内容を言ってきた。たぶん何らかの症状(パニック障害ではないかと思う)で窓際に移りたいのだなと思った。すぐに承諾して荷物をまとめ、A席を空けた。女性は小さくお礼を言って、A席に移った。具合が悪そうだったのでそれ以上声をかけるのは止めた。

 

品川で「お気をつけて」だけ言って降りた。若い女性はそのまま乗っていった。いつからC席にいたかわからなかったけど、私がPCを使っていたせいで名古屋から新横浜まで声をかけにくかったのかな、と申し訳なくなった。乗車中に当人から何も聞くことなく状況を察することはできないんだけど。

知らない人

知らない人と会って話すというのが小さい時から本当に苦手だ。適切な話題を続けていけているか、本来の趣旨と離れていないか、もし交渉なら設定したゴールに近づけられているか、相手に悪印象を与えていないか、言葉の選び方は適切か、言ってはいけないことをうっかり言っていないか、多少なりともおもしろいと思ってもらえるか、それらを気にしすぎてぎこちなくなったり声音が高すぎたり低すぎたりしないか――いざ話す人を目の前にしたら、「気にしたいポイント」のことなど忘れて話に突入してしまう。時々ふと我に返って自分を観察する瞬間もあって、そのときは話の内容が頭から抜け落ちているのではないかと心配になる。世間ではそこまで厳密にやるものではない(もちろん戦略を練ることは大事だけれど)というのがなんとなく、ぼんやりとでもわかってきたのは社会人になって7年以上経ってからだ。ちょうどよい加減というものが未だにわからない。難しい。

お正月の食文化

大阪のお正月がどんなものか実感を得ぬまま大阪を離れてしまった。お正月の魚といえば関東ではなんとなくまぐろの刺身というイメージでいたけど、関西では鯛を1匹焼いたものがずらっとスーパーに並び、ぶりを焼いて食べる、らしい。年始用の練り物に「桜玉」「梅玉」というのがあって、それぞれ桜の花の形、梅の花の形をした中にうずらの卵が入っている。一番関東と違うというお雑煮は白みそ仕立てに丸餅らしいけれど、弊家庭にはお雑煮を食べる習慣がなく、誰かが作った大阪風のお雑煮を食べる機会もなく、文化の違いを感じ取ることができなかった。結局、年末年始らしい食事といえば、大みそかに食べる年越しそばだけだった。その年越しそばですら、実家にいるときは年越しラーメンで、しかも夕食とは別に紅白歌合戦が佳境に入る頃に食べるという変則的なもので、文化の違いもへったくれもない。こんなものかなあと思いながらえび天が入ったおそばを食べる。