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原稿用紙2枚分

はてなブログの文字カウンターで800字分

名前

 昔、自分の名前の由来を親に聞いてみたことがある。しかしなかなか要領を得ない。「いくつか候補を挙げた中で一番しっくりきた」「響きがよかった」「画数がよかった」「作家の三浦綾子さんと曽野綾子さんにちなんだ」など、何度聞いても複数の理由が違う組み合わせで出てくる。実際子供の名付というのはそういうものだと思うけれど。
 三浦綾子さんと曽野綾子さんにちなんだ、というのは、後付けで「プロゴルファーの岡本綾子さんにちなんだ」のような話も出てきたのでどこまで本当なのかよくわからない(岡本さんはプロデビュー1年目の1975年、つまり私の生年にトーナメント初優勝を果たしているので、ぎりぎりセーフといえばセーフ)。曽野綾子さんは今でこそいろいろ言われる人になってしまったけれど、当時はやはり著名な作家ということで、親は三浦綾子さんの著書ともあわせ何冊か読んでいたようだ。中学生になった頃に縁あって何度も読み返すようになったのがたまたま三浦綾子さんの「氷点」(続刊合わせ計4冊)で、そのときになんとなく、名前の由来に近い人の書物を読むようになったんだな、と思った。
 後に私が結婚して、名字が変わったとき、私の新しい姓名について母親が「なんだか文化人みたいな名前ね」と感想を述べた。娘の結婚に際し特に賛成意見も反対意見もなく、そもそも「結婚しない」と言い続けていた娘がまさか結婚に至るとも思っていなかった母親が、珍しくそんなことを言ったので、今もしっかり覚えている。その後、私は巡り巡って、広い意味で「書き物」を生業とするようになった。記名で連載を持たせてもらったのも結婚後の名字でのことだ。「文化人みたいな名前」という母親の言葉は、相当広く捉えて予言のようなものだったのかもしれない。
 とはいえ、私が覚えている結婚に関するもう一つの母親の発言は「たばこもお酒もやらないなんてつまらなくない?(夫に向かって)」。